乳がん検診受診者は50%弱
しこりをつくる前の乳がんや、触れない小さなしこりを発見するには、マンモグラフィーや超音波などの画像による乳がん検査が必要です。
国は科学的根機をもとに、40歳以上の女性を対象にした、問診とマンモグラフィーによる乳がん検診を2年に1回実施しています。
現在の乳がん検診受診率は50%弱で、対象となる女性の半数は受診していません。
乳がんの進行速度
乳がんが1センチのしこりになるには発生から7~8年ほどかかり、その後は数年で2センチに成長します。2センチのしこりは触って分かる大きさです。
早期の乳がんは、乳腺組織の中にがん細胞がとどまっている非浸潤がんです。その後がん細胞が乳腺組織の外に出て浸潤がんになると、転移のリスクが出てきます。小さなしこりでも浸潤がんが見つかることがあります。
(SANSAN 202402月号ピンクリボンコラムより出典)
乳がんが増加する背景
>乳がんのがん細胞の発生や増殖には、女性ホルモンのエストロゲンが深く関与しています。女性の社会進出をはじめとした環境の変化や、欧米化した食生活などにより、女性の生涯においてエストロゲンの影響を受ける期間が長くなったことが、最近の乳がん増加の大きな要因と考えられます。
閉経後も増えている乳がん
約10年前乳がん患者が最も多かったのは45歳ですが、今はピークが65から74歳に変わりました。閉経によって卵巣からのエストロゲン分泌がなると、脂肪細胞からエストロゲンが作られるため、閉経後の肥満が乳がん発症につながっているようです。
また、がんは高齢になるほど発症リスクが上がるため、少子高齢化が進む今の日本では、乳がんの罹患率にもその影響があります。
乳がんは治りやすいがん
女性がかかるがんでは1位の乳がんですが、2020年のがん全体の部位別死亡数では5位。かかる人は多いものの、治る人も多いことが分かります。
乳がんは早期に発見して治療すれば、治りやすいというのが特徴です。乳がんの死亡率が高かった欧米では、日本よりも早く乳がんの認知度が上がりました。早期発見・早期治療の重要性を理解し、自覚症状がなくても定期的に乳がん検診を受ける人が増えたため、欧米諸国では1990年頃から乳がんの死亡率が大きく減少しています。
今は乳がんにかかっても治せる治る可能性の高い時代です。いつ乳がんが見つかっても、乳房と命を守れるように、乳房や乳がんについての正しい知識を身に付けましょう。
(SANSAN 202308月より出典)